旅先で撮った写真や、そのとき考えていたこと、訪れた街の記録。
そうしたものを一冊にまとめる旅行記ZINEは、一般的な書籍や写真集とは少し違った自由さがあります。
今回は、透明カプセル様からのご依頼で、空の旅をテーマにしたZINE「SORAZINE」の表紙デザインを制作しました。
飛行機から見える空の写真を中心にしながら、余白とタイポグラフィを組み合わせ、シンプルな中にも少し遊び心が残るデザインに仕上げました。

| 制作物 | ZINE 表紙 |
| ジャンル | 旅行記・旅ZINE |
| タイトル | SORAZINE 創刊号 |
| モチーフ | 空・飛行機・旅 |
| 使用素材 | 写真 |
| テイスト | シンプル、少し遊び心のあるデザイン |
表紙の中心には、飛行機の窓から撮影された空の写真を配置しています。
旅行記の表紙では旅先の風景写真を大きく使う構成も定番ですが、今回は写真を全面には敷いていません。
白い余白の中へ写真を置き、タイトルや文字も含めて一枚のグラフィックとして組み立てています。
旅行写真を全面に使わず、余白を残したデザインに
旅行記やフォトZINEを作るとき、まず思いつきやすいのが「お気に入りの旅行写真を表紙いっぱいに配置する」というレイアウトです。
写真そのものに強さがあれば、それだけでも十分に表紙になります。
一方で、写真を少し小さく配置して周囲に余白を残すと、雰囲気はガラリと変わります。
SORAZINEでは、空と飛行機の写真を中央付近にまとめ、その上下左右を大きく空けています。
写真集というより、旅の記録を編集して一冊にまとめたZINEらしい見え方を狙いやすい構成にしました。
旅行中は写真をたくさん撮るので、「せっかくだから表紙にもいろいろ載せたい」と考えたくなります。
ただ、表紙だけを見るなら、使う写真を一枚に絞った方が印象が残ることもあります。中身に写真がたくさん入っているからこそ、表紙では情報を削っても成立します。
タイトルは、少し力の抜けた文字に
「SORAZINE」のタイトルは、直線的で整った書体ではなく、輪郭がふわっと膨らんだような文字になっています。
写真自体は青空と飛行機という爽やかなモチーフですが、タイトルまで端正にまとめると、旅行会社のパンフレットや一般的な旅行ガイドに近い印象へ寄りやすくなります。
そこで、タイトルには白い雲を思わせるような、もくもくとした少し癖のある形を使いました。
ZINEは商業誌ほど形式に縛られないので、タイトル文字をロゴのように扱ったり、少し不格好な文字をあえて選んだりするのも似合います。
旅行記の表紙を作るときも、「旅行らしいフォント」を探すより、その旅行記をどんな温度感で読んでほしいかから文字を決める方がまとまりやすくなります。
訪れた都市名を、旅の軌跡として配置
写真の下には、
- Shanghai
- Hong Kong
- Bangkok
- Singapore
- Melbourne
という都市名を配置しています。
一般的な目次のように縦へ揃えるのではなく、左上から右下へ少しずつ位置をずらしています。
単純に訪問先を記載するだけなら、一列に並べても情報は伝わります。ただ、それでは「場所の一覧」で終わってしまいます。
位置を少しずつ動かすことで、旅の軌跡をそのままなぞるような流れが生まれます。
地図や飛行機のアイコンを追加しなくても、文字そのものの配置で旅の移動感を出せます。
旅行記ZINEでは、地名、日付、便名、駅名、移動時間など、旅にまつわる情報もデザイン素材になります。全部を説明として載せるのではなく、誌面のリズムを作る材料として使うと面白くなります。
縦書きの短いコピーで、写真にもうひとつ意味を加える
写真の右下には、「とくべつな日はいつも空の上からはじまっている」というコピーを縦書きで配置しています。
こちらはご依頼主様からご提供頂いたセンテンスです。
横書きを中心にした表紙の中へ縦書きをひとつ入れることで、視線の流れに変化を付けています。
旅行写真の場合、写真だけでも「どこかへ向かっている」ことは伝わります。
そこへ短い言葉を加えると、その写真が単なる記録ではなく、その人にとってどんな場面だったのかまで想像しやすくなります。
旅ZINEなら、行き先や日程だけを書く必要はありません。
旅の途中で考えたことや、その旅を象徴する一文を短く添えるとより思い出が深まります。
旅行記の表紙は「旅行っぽいもの」を全部載せなくてもいい
旅行記や旅ZINEのデザインを考えていると、
「地図を入れた方が旅行らしいかな」
「飛行機のマークも欲しい」
「パスポートやチケットも入れたい」
とモチーフが増えていきがちです。
もちろん、コラージュのように素材を重ねたデザインが合うZINEもあります。ただ、旅行らしさはモチーフの数で決まるわけではありません。
今回の表紙で大きく使っている要素は、空の写真、タイトル、コピー、都市名です。
それだけでも旅を扱った冊子であることは十分に想像できます。
表紙を作るときは「何を足すか」より、「この本らしさを伝えるために何を残すか」を考えると整理しやすくなります。
旅行記・旅ZINEの表紙をデザインするときの考え方
旅行記ZINEには決まった表紙の形がありません。
写真を全面に使ってもいいですし、小さく配置しても構いません。写真を使わず、地名や日付だけで組む方法もあります。
方向性に迷った場合は、次のように整理すると決めやすくなります。
| 見せたいもの | 表紙の方向性 |
|---|---|
| 景色そのものを見せたい | 写真を大きく使う |
| 写真集らしくしたい | 写真+シンプルなタイトル |
| ZINEらしい雰囲気を出したい | 余白や文字組みで遊ぶ |
| 旅程を見せたい | 地名・日付・ルートをデザインに使う |
| 個人的な旅行記らしくしたい | 手書き文字や短い文章を取り入れる |
| 複数都市を巡ったことを見せたい | 地名や移動情報をレイアウトに取り入れる |
表紙だけを見て旅行の全情報が分かる必要はありません。
どんな場所を旅したのか。写真が中心なのか、文章が中心なのか。にぎやかな旅行だったのか、静かな一人旅だったのか。
その一冊の空気が少し伝われば、表紙として十分に機能します。
旅行記ZINEだからできる、少し自由な表紙
一般的な旅行ガイドなら、行き先や掲載情報がひと目で伝わることも重要です。
個人で作る旅行記ZINEの場合は、それとは違った作り方ができます。
- 写真をあえて小さくする
- タイトルを変わった形にする
- 都市名を斜めに並べる
- 旅行中に書いた一文をそのまま載せる
情報をきれいに整理するだけではなく、旅をした人の感覚まで表紙へ持ち込めるのがZINEの面白いところです。
SORAZINEも、空の写真を中心にしながら、旅先の都市名やコピー、少し癖のあるタイトルを組み合わせています。
旅行記というテーマは同じでも、写真や旅の内容が変われば表紙の答えも変わります。
「旅行記らしいデザイン」に合わせるより、その一冊に入っている旅から表紙を考えた方が、その人のZINEらしいものになります。
旅行記・ZINEの表紙デザインもご依頼いただけます
Inky Designでは、小説・漫画同人誌を中心に、ZINEなどの表紙・装丁デザインも制作しています。
現在の制作事例にも「SORAZINE」をはじめとしたZINE作品を掲載しています。
旅行写真は用意できているけれど、表紙としてどうまとめればいいか分からない場合や、写真を並べるだけではなく一冊の雰囲気に合わせてデザインしたい場合もご相談ください。